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[(24) 多鯰ヶ池の御前島

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通常なら湖中の地:多鯰ヶ池駐車場の端から撮影(左)。睡蓮の群落が干上がっている光景に驚嘆した(右)

 2025年9月6日(土)は快晴でしたが、風が強く、日本海を避け、多鯰ヶ池で出艇しました。
 今回は通算19回目の多鯰ヶ池での出艇でしたが、経験したことのない大渇水で、異様と見惚れた景色が連続していたので、記録に残し、ご紹介することにしました。
 いつもの湖畔駐車場(多鯰ヶ池の東北端:お種弁天の社の手前を左にカーブしながら降りる道路の行き止まり地)に立つと、通常出艇する地が干上がり、湖畔が遠く、一方、睡蓮の群落も干上がっていました。初体験の稀有な出艇環境であり、湖畔に置いた艇を含め、記念撮影しました。

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出艇地の西至近は半島形状のお種弁天の森(右)。反時計回りに艇を進めます(左)

 定番で反時計回りに、出艇地から西へと艇を進めました。お種財天の森を正面に眺め、通常なら大樹の枝に包み込まれる環境での漕艇ですが、今回は、枝を上方に仰ぎ見る有様でした。半島状のお種弁天の森の下を南へ漕ぎ、水位が極端に下がった湖域を、艇底を傷つけないように留意し、迂回しつつ西へ。
 多鯰ヶ池の周囲には、毎シーズン、風の影響で形状・大きさが異なりますが、睡蓮の群落が湖畔各所に広がります。お種弁天の森の西側に広がる群落も干上がり、残念至極。かつ、北湖岸沿いに西へ漕ぐと、通常は睡蓮の群落が大きく広がります。が、多くは干上がり、謂わば、痩せた群落に留まりました。 

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多鯰ヶ池の西南端に遺る観光船桟橋の廃墟:増水期との比較(★)。奥は干上がり、砂浜が!(左下枠内)

 西南端には、かつて、畳に座し、座卓で飲食も出来た和船の観光船の桟橋が廃墟となり、遺っています。遠めに見ても湖面が低く、近接し驚いたのは、屋根に覆われた桟橋の奥に砂浜が見えたことでした。正しく、砂丘地にある堰止湖であるとの実感を抱きました。
 干上がり具合を知っていただきたく、増水期(2021/2/6)の湖面を枠内に入れました。目視ですが、1.2m程度の湖面の上下差です。まるで、瀬戸内海の干満の差のごとく・・・。

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多鯰ヶ池の南にある散策路から湖畔に降りた景勝地も見たことがない異様な景観(右)。振り返り撮影(左)

 西南端から、南側を東へと漕ぐと、湖畔に降りる階段と案内看板がある穏やかなscenic spotを目にします。この日は異様に感じた湖畔形状でした。即ち、複雑な形状の砂岩が小さな崖状に落ち込んでいたのです。鏡の湖面に反射した異様を記念に撮りました。この地で振り返り、北・砂丘側も記念撮影。

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干上がった南奥のジャングル地帯:E 西からの進入する際の目途。A 注連縄形状の気根地へ進入不能

 南岸沿いに東に艇を進めると、さらに南に奥まった形状の湖域に近接します。楽しみなジャングル地帯であり、通常は樹木の枝を避けつつ進入し、注連縄を思わせる気根(組写真A)に目を奪われます。
 その東側は、地形上鏡面になり易い湖域であり、湖面に樹木が映る様も目にします。水深は30-40cm程度と浅いのですが、高い樹木・複雑な枝ぶりが湖面に深く映り、神秘的で、感動体験となります。
 大渇水の今回はどのような状況なのか、関心を抱きつつの近接でした。西からの近接では、ランドマークとなる4本の連なる樹(組写真E)を目途・ランドマークとして漕ぎます。放置されたレジャーボートが湖底に流れ着き、「困った」感を抱きつつ、避けての漕艇が常でした。
 が、今回はボートの全容が露出していました。その東(写真左)側がジャングル地帯への進入路となりますが、完全に干上がっており、睡蓮の群落を目に留めつつ、迂回し、沖合を漕艇しました。

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通常は湖中にある磯の御前島:渇水期に視認できる灯篭(↑)。初めて目にした灯篭の残骸(↓)

 御前島を目にする機会は稀有です。Web地図では、BingとYahooの航空写真で確認することが出来ます。磯の御前島に残る灯篭に気づき撮影し、一度は目立った渇水期に上陸したこともありました。
 が、今回は別世界と評せるほどの干上がり具合で、近接すると見上げるほどでした。かつ、初めて目に留めた灯篭の上部(組写真↓)残骸も目に留めました。
 となれば、沖の御前島は・・・と、西側を眺め、視認し、近接し、周回しました。
 両島の解説は「日本湖沼めぐり」に、鳥取
砂丘と日本海を背後に望む、美しい風景の池の紹介で「多鯰ヶ池 TANEGAIKE POND」の頁があり、御前島に係る解説もあります。
 成因が古代大山の噴火堆積物と砂丘の押し寄せによる堰止湖で、生活排水の流入がないため、透明度が高い「湖」なのですが、POND とあり、個人的にはガッカリです。Lake TANE ~ Lake Kayak♪

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初めて眺め得た沖の御前島:場所の感覚~西南端に観光船桟橋の廃墟 

 「日本湖沼めぐり」にある解説文を抜粋引用します。
 「・・・東岸と南岸が入り組んだ複雑な湖岸線なのに対し、北西側(砂丘側)は直線的な地形になっています。そのため、見る方向で大きく印象が変わって見える池です。
 北西側、鳥取砂丘と多鯰ヶ池のあいだを鳥取県道265線が直線的に貫いているので、北西岸の直線は一見人工的な直線にも見えますが おそらく天然の地形だと思います。
 池の中には小島、磯御前島、沖御前島という3つの島があります。 かつては、現在お種弁天がある半島も多鯰ヶ池にうかぶ島であり、大島と呼ばれていたそうです。
 磯御前島と沖御前島は池の水位によっては水没してしまうような小さな島ですが 小島はそれら2島と比べると非常に大きく、池に大木が生えていて、多鯰ヶ池の風景の良いアクセントになっています。
 ・・・お種伝説では、お種さんが島に渡って柿を調達していたそうで、小島にもお種社が存在します。 とはいえ、小島には柿の木はなさそうに見えるので、その柿を調達した島というのは、大島のほうなのかもしれません。」
 御前島を後にし、出艇地方向に漕ぐと、大きな松が印象的な小島が視野に入ります。

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多鯰ヶ池の象徴である伝説の小島の西側にある赤い鳥居も干上がった高い地での初視認

 当然ですが、湖面が低いため、小島が浮かび上がっているかの感覚に陥りました。西側湖面からの近接でのみ眺め得る赤い鳥居も島の奥・高い地に見えます。増水期は鳥居の柱部分が湖中にあるのです。
 小島に近接後、睡蓮の群落が密に拡がった南東端の観光梨園地帯を漕ぎ、出艇地に戻りました。

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南から眺める伝説の小島(↓)、奥・北側は出艇地の駐車場(P)。上艇後に眺める小島(↑)

 睡蓮の群落は、5月末から9月上旬頃まで、午前中の漕艇で、愛らしい花を目にし、心が和みます。
 出艇地に戻り、艇から上がり、小島を振り返り撮影した後、艇の空気を抜きました。
 御前島を示した地図に、多鯰ヶ池の名所も記入しました。土地勘ならぬ湖勘を膨らませていただければ幸いです。
 なお、[浜湯山・多鯰ケ池活性化委員会]による多鯰ヶ池の概要に詳細な記述があります。
 また、「鳥取砂丘のオアシス多鯰ヶ池で四季を楽しむカヤック~多鯰ヶ池 カヤック体験」が[鳥取市観光サイト]にあります。
 未体験の会員諸氏、安全・優雅な湖上散歩はいかがでしょうか?!

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 鳥取県東部医師会報 2026年1月号p.**-**の原稿です。

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