[(5)但馬の田井ノ浜]

田井ノ浜を初体験したのは小春日和に恵まれた2021年2月14日(日)11:44に丘状の地で撮影
還暦記念で始めたカヤックは、初夏から初秋の出艇で終始していた。新コロ禍中の2020年9月に齢70歳に至り、「今が一番若い!」と気づき、遅くまで漕ぐことを心した。結果、2月に日本海で漕ぐ機会に恵まれた。冬の日本海での出艇は全く想定外だったが、2021年の冬季は小春日和の日に恵まれた。かつ、日本海の冬季はうねりが懸念され、素人が海で漕ぐことは慎重にならざるを得ないが・・・。
新コロに関しては“0密”環境の但馬の海へと車を走らせた。三尾漁港では駐車に難があり、田井ノ浜に転じた。初めての地に到着したのは昼前で、丘状の地から田井ノ浜海岸を眺めた。凪!出艇できる。

田井ノ浜海岸は、住宅が皆無で、流入河川もなく、透明度が高い。波で洗われた丸い石で覆われている
この日の艇は英Bestway社のCOVE CHAMPIONで、正しく入江状の凪の海に恵まれた。建物は丘状の地の奥に公設トイレがあるのみで、人家はなく、流入河川もない。艇を整えて、浜へと下り、対を浮かべて記念写真を撮った後、正午過ぎに出艇した。透明度の高い海の底も大小の丸石が覆っている。

田井ノ浜を振り返り撮影(左)。至近に洞窟状の進入不能な岩の裂け目(中)。北に向いた避け目も(右)
環境に浸りつつ、ゆっくりと入り江の中を南側の崖沿いに漕いだ。洞窟 状の、しかし、進入不能な岩の裂け目を眺めつつ、反時計回りに海岸を漕ぎ、湾外に出た。

入江の外に出て、西側を撮影 (左)。南を眺めると大きな洞窟(右)がしかし、落石に塞がれ進入不能!
西側の岬状の地・鬼門崎(国土地理院地図で確認)を越えたら浜坂地区。浦富海岸での漕艇実績から、距離的にも可能・・・、ハテどう漕ごうかと思いつつ、海岸を眺めると、大きな洞窟が目に留まり、近接した。残念ながら、洞の入り口は岩で塞がれており、漕いでの進入は不能でした。崖下沿いに艇を西へ移動させた。が、やはり岩で塞がれており、艇に座したままで、洞窟内への進入は不能。
一方、大きな洞窟入口の東側に大蛇が這うような、岩の裂け目を溶岩が天に伸びた形状を目に留めた。洞窟内への進入を阻止していることと大蛇のごとくの岩から、リリャルト・ワーグナーの[ジークフリート]を想起した。で、洞窟内への進入に恐れを抱いた次第(笑)。
夏季なら、足元が濡れるのを是として、艇から上がり、岩場を越えて、艇を降ろし、洞窟内を漕ぐことも可能であろうとみた。またの機会に恵まれることを祈念し(心情的には逃げて)、沖合に出た。

大蛇・・・。大蛇は地を這う。命名「昇竜洞窟」(左)。沖合から眺める全容(中)。西側から眺める昇竜
大蛇は地を這う。天に昇っているので、竜がイメージできる「昇竜洞窟」と命名しました。
沖合を移動しつつ撮影した3枚で組写真を整えました。崖の上(組写真の矢印)はどのような地になっているのか、国土地理院地図には散策路はありません。ドローンで撮影するにも、崖上は草木が多い、“昇竜の頭部”は見えない。Google地図でも確認不能で、神話の世界!
後日調べたらこの地に「竜宮洞門」があると知りました。が、果たして、「昇竜洞窟」と合致するのか否か、現時点でも不明です。
「昇竜洞窟」内での漕艇に未練を残し、艇を戻し、田井ノ浜海岸の沖合を東へと漕ぎました。船で移動した岩場に釣り客が見え、海岸線の変化も見取れました。
界隈は、名所の「但馬御火浦(たじまみほのうら)」一帯で、渡船による岩場の釣り客も認めました。が、北東からの向い風が吹き始めたため、無理をせずに、田井ノ浜海岸方向に戻りました。
但馬御火浦の中心地は、この日、最初に出艇を計画した三尾漁港です。田井ノ浜海岸を10時前後に出艇すれば、往復が可能です。

美しい入り江に進入(左)。振り返り(中下)。光の揺らぎ・色合いに魅せられた(右)。命名[美しの入り江]
但馬御火浦の西側地帯から田井ノ浜へと戻る途中、崖沿いにゆっくりと漕いでいたら、またしても想定外の景勝地に恵まれました。小さな入り江は、北西に門の形状を成す岩に囲まれ、北西の風で海面が穏やかさを逸した沖合とは全く異なる静かな鏡面でした。午後の陽光を浴びて、透明度の高い海と光の揺らぎのコラボで、行を飲むほどの美しさ。正しく、別世界でした。で、[美しの入り江]と命名!
