[(24) 稀有な夕景

湖山池公園南端の水路出口で出艇(右)。夕陽の左は青島、右は台形山(中)。東岸沿いに北へ:湖山池遊覧船(左)
梅雨明け、夏到来を思わせた澄んだ快晴の空・・・。例年なら、梅雨の最中で、Lake KOYAMAでのサンセットカヤックを発想することはありません。34℃を呈した鳥取市は真夏日で、全国的には観測史上最高の37℃に至る猛暑が報じられた夏至に近いこの日、2025年6月17日(火)の夕に、心が動き、tenki.jp等で調べた。予報は弱い北寄りの風が南風に変わり、その間は夕凪となり、鏡の湖面が期待できます。
また、日没は19:27とあった。夏至に近いので、夕陽は湖山池の北西方向に沈みます。湖山池での日没は予報時刻より早いのが常です。早いのは標高123.6mの自称“台形山”に沈む所以か・・・。

湖山池公園ナチュ ラルガーデンのテラス(右)。少し北に水路出口(中)。北側至近の水路に進入した(右)
天候に係る情報を確認後、出艇を決めました。出艇地は湖山池公園ナチュラルガーデンの南端で、足を濡らさずに出艇・上艇が可能な水路の出口付近です。(15年前の初出艇時から再々利用しています。)
至近の駐車場から一式を持ち出し、艇を準備し、出艇しました。
出艇後、東岸沿いに北へ漕ぎつつ、陽光が高いことに気づき、日の入りまで2時間余あると分かった。要するに、出艇したいとの心が優先し、どれだけ漕ぐかのシミュレーション皆無での出艇でした。

水路奥の歩行者橋:駐 車場は左・北(左)。水生植物園ゾーン:犬連れの散策者(右)。同地で記念撮影
砂丘による堰止湖の湖山池(英 Lake KOYAMA)を東岸沿いに、即ち、湖山池公園ナチュラルガーデン沿いに北へ漕ぐと、立ち寄りたくなる水路があります。水路に進入すると、(公園北側の主駐車場で下車し、南の公演へと歩く際に)水路を跨ぐ歩道橋があり、この直下に至ります。
この日は水位が高めで、難なく至近に艇を進めることが出来ました。艇を反転し、少し西に戻ると南側は小さな入江形状で、水生植物ゾーンです。美しい景色に誘われて、自撮りで記念撮影をしました。

出艇後、日没まで約2時 間あると気づき、青島を周回することにした。青島北端湖域:久松山(枠内 拡大)
水路から湖山池に戻り、北・鳥大附属校方向に漕いでいて、鏡面となった穏やかな湖面を北岸沿いに西へ。「日没までに青島を周回し、出艇地界隈に帰れよう・・・」と思いつつ、漕ぐことにしました。
葦が群生する自然護岸地帯を過ぎると、石組みの湖岸になります。当地まで鳥大附属校の南側車道があり、当地でのファミリーカヤック歴もあります。懐かしく思い出しつつ、青島の北端へと漕艇。
桜並木がある青島の北端湖域からは、久松山が遠望できます。記念に撮影した後、反時計回りに艇を進めました。湖岸散策路に人影がなかったのは、暑すぎたから? なお、湖面は避暑効果があります。

青島を反時計回りに周 回:梅雨の最中に夕陽を浴びて輝く北西端(左)。同南西端(右)
夕陽に照らされた青島の西岸を南へ漕艇。通常なら、環境に浸り、のんびりと漕ぎます。が、この日は、出艇地界隈に戻って、日没の景色を眺めることにしていましたので、休むことなくの漕艇でした。

青島大橋の全容を視認(上)。大橋の北端を東へと通過(中)。通過後、青島東南のレジャー施設群(右)
15年前、還暦記念で漕ぎ始めた当初は、湖山川の水門が閉鎖されており、湖山池の各所で菱が大群生し、水質悪化が問題視されていました。青島大橋の西側も湖面に菱の大群生が広がっていました。エンジン付の小型船が航行した跡のみ湖面が若干開けており、進路を定めて漕ぎましたが、パドルに菱の水中茎がまとわりつくことが再々で、やっと漕げる状況に困惑していました。
その後、湖山川の水門が開放され、海水が逆流する効果で汽水湖となり、湖面の菱は失せました。湖岸至近まで艇を寄せることが可能です。が、生活排水が入り込むので、湖水の透明度は劣ります。透明度70cmとありますが、実感としては40-50cm程度に留まります。昔は泳げていたようですが・・・。

駟馳山(枠内 拡大)を眺め る出艇地▼方向(左)。鷺の群れ▲に気づき近接し撮影(中)。青島北端の夕陽(右)
さて、還暦記念で始めたカヤックの初代艇は、知識0%でしたが、偶然、ネットオークションでヒットし、入手し得たゴム(塩化ビニール)製で空気を注入するタイプのカヤック(Inflatable Kayak)Bestway(英)の愛称WAVE LINEでした。その後、安価なDoppelganger(独)艇に出会えて購入し、家族と共に出艇しましたが、ゴムが薄く、膨れ過ぎるなど、2艇を廃棄しました。
次いで、Intex(米)のCHALLENGERに出会い、購入しました(一人乗りK1)。Intexは、Inflatable KayakシェアNo.1企業(Bestway社がNo.2)と知り、家族での出艇用にK1を追加購入し、二人乗り(K2)艇も購入し、三世代で5人で楽しむことが出来ました。
その後、初代のWAVE LINEは12年目に劣化による空気漏れを呈し、裁断し、廃艇としました。

出艇地に戻る途中:再々 振り返り撮影 自称“台形山”に沈む夕陽。予報通り南からの微風
なお、予想外に長く使えたBestway の愛艇WAVE LINEは、国内で入手できず、同社の後継艇COVE CHAMPION を入手しました。が、メインタンクが左右に分かれている構造上、安全面で劣ると評価#をしました。(#:左右どちらかのタンクに不備が発生すると転覆しかねません。)

梅雨の最中、稀有な快晴の夕:出艇地の湖畔で日没を撮影(左)。艇を上げた後、湖畔からの撮影(右)
2022年7月、沖縄のサンゴ礁の海でのカヤック用に、Intex K1を新たに購入し臨みました。(同3艇保有)。2023年7月にも同艇を持参。2025年5月、ウィーンに持参したのは、2代目艇でした。
Alte Donauで漕いだ2日後に、ウィーン市郊外の東部、規模は小さいですが湧水による湖(夏季に水浴しているWeb写真)があり、艇の最終確認のために出艇しました。結果は、20分程度で、座面タンクの(劣化による)空気漏れを確信し、ホテル自室で裁断、廃棄しました。
2025年7月は宮古島のサンゴ礁の海でのカヤック三昧を詳細に計画済でしたが、ウィーンで艇の劣化を体験したことで、安全確認を優先し、催行を中止しました。
結果論ですが、太平洋高気圧が北海道に張り出し、沖縄地方はその西端に位置したことで、南風が吹き、雲が沸き、降雨が多かった異常気象に見舞われたことで、催行中止の判断は正解でした。
齢75歳、カヤックは15年で終焉・・・。
新艇を購入し、石垣島や宮古島で漕ぐ?!(年齢と異常気象を考慮し、躊躇しています。)
夏至に近い6/17(通年なら梅雨の真中)稀有な快晴に恵まれたサンセットカヤックの漕艇コース概要地図をお示ししました。

今後もユネスコの世界自然遺産エリア内のLake KOYAMA 湖山池に親しめることに感謝します。
振り返れば、本会報随筆欄に[還暦記念~カヤックに親しむ:山陰海岸ジオパーク~湖山池・白兎・浦富海岸]を執筆(2010年9月号掲載)してから、[ロンドン紀行]、[ウィーンを愛して]、[パリに魅せられて]、[スイス悠々]の標題で(続編を含む)連載しました。新型コロナウイルス禍中で西欧に行
けなくなったことで、[悠々カヤック:写真紀行]の連載を開始し、4年間24回。艇の劣化を契機に、連載を終えることにします。
通算15年余の連載機会に恵まれたことに感謝至極です。
次号からは[ウィーンへの里帰り]シリーズの掲載です。
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◆ 鳥取県東部医師会報 2026年1月号の原稿です。
次[ウィーンへの里帰り]?
案[シシィ][ヨーゼフ1世][楽友協会][国立歌劇場][マーラー][モーツァルト][公共交通]