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[(23) Laxenburg

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2025年5月13日(火)Laxenburg離宮内の森(左)。直訳[城池]の出艇適地(右)。手漕ぎボート(枠内)

 Laxenburgラクセンブルクを知ったのは、全くの偶然でした。自室に居て、息抜き的に2024年元旦放映ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの録画に目を留めたのです。ワルツのバレエシーンで、手漕ぎボートに男女が乗っていました。テロップに「マリア・テレジアが愛した離宮」「フランツ・ヨーゼフ1世。皇妃エリザベートが当地を気に入り馬で巡り、皇太子ルドルフを出産した城館」などが・・・。

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離宮庭園内私的遊具類の持ち込み禁止:手漕ぎボートレンタル2時間(左)。手漕ぎボート出艇記念(右)

 調べたら、ウィーンの南方約20km、中央駅からハイドンゆかりのアイゼンシュタット行路線バス200番の途中、約30分の地と知りました。アイゼンシュタットは本会報 No.402「心地良い朝の散策が嬉しくて」2012年11月号 p.53-57)で紹介済ですが、途中にラクセンブルクがあるとは無知でした。
 2012年当時は、ウィーン中央駅は(東駅・南駅を合体新設の)大改修中で、完成した現在では隣接地にバスターミナルが完成していました。初めての利用であり、早めに到着しました。

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ミニトレインの終点から牽引方式のフェリーが出航(左)。園内観光名所のFranzensburgを結ぶ(右)

 オーストリア連保鉄道  Österreichische Bundesbahnen ÖBB の公式HPは、国際特急、近郊電車や、ウィーン市内のトラム、路線バスなどが一体化しており、一元的な検索が可能です。(日本も導入して欲しいと切に願います。鳥取地域では、路線バス2社のHPは、pdfで確認する程度に留まります。)

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緑豊か・静寂で、複雑な形状で広い湖様のSchlossteichの北端(上)。振り返り撮影(下)

 車窓も趣味の小生。バスも同様で、運転手横の先頭席に恵まれました。乗車時に中央駅で購入したチケットを運転手に見せ、初めての探訪・下車地であり、「Laxenburg」を告げました。なお、車内の液晶電光案内表示版は光の関係で自席からは読めず、車内アナウンスはありませんでした。ウィーン市内は専用路線で停滞することなく走り、郊外に出ると片側一車線の田園地帯を快走します。村に入る前後には決まってロータリーがあり、減速を余儀なくされます。信号に頼らず、効果的な方策です。
 09:00のウィーン始発時は、満席に近い状況でしたが、生活路線バスのようで、下車する人が続きました。やがて、町に入り、バス駅で多くの人が下車する様子に接し、運転手に「Laxenburg?」と確認し、かつ、「Wo ist Burg?」と問うと、手で指示してくれて、安堵しつつ、下車しました。

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公園の北端Marianeninselにある廃墟の遺跡(左上)。順光となる湖面から遺跡を近接撮影(右)

 下車地は、Laxenburg Josef-Platz で街の中心部。快晴でしたから、方角は(聞かずとも)分かります。勘を活かして歩き、市庁舎前広場へ。市庁舎カフェ・レストランのテラス席は、ゆっくりと朝食を摂る人たちで賑わっていました。隣接した美しいカトリック教会などを含め、広場の環境にしばし親しみました。南に歩む通りに進み、円形のチケットボックスで入園料4.00EURをカード・タッチ方式で支払いました。日本に居る時と同じ反応速度に、時代を体感しつつ、彼に、ジャスチャーをしつつ「Rowing Boat?」と尋ねたら、散策方向を示しました。歩み始めた小生に、「Cash only!」との声に「Danke」。

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東湖域を南に漕ぐと、名所を結ぶ橋に近接(左)。電動レジャーボート(左下)。北湖域を振り返り撮影(右)

 公園入口に停車中の[Laxenburg Express]なる二両の客車を牽引し、散策路を移動するミニトレインを記念撮影。森と評して良い大樹に包まれた環境を南東部へと歩きます。
 事前に公園内の地図の概要を把握済でした。が、園内は広く、案内板も確かめつつ、ゆっくりとした散策で、湖畔に到着しました。湖畔と記しましたが、名称はSchlossteich(城池)です。ただし、25ヘクタール(東京ドーム5.35個分)あり、複雑な形状で、7つの島も点在しており、湖表記としました。

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皇帝フランツに由来するFranzensburgと直結する橋と順光に輝くがごとくの城館:微風にボートを委ねた

 当初、Google mapで探したら、カヤックの出艇適地を見出し、心を躍らせました。一方、バス駅からレンタルボート乗り場までは、約1.5kmあり、この距離を10km近いカヤック一式を持ち運びするには(リュックで背負うのは是ですが、手持ちでは不安定でもあり、)身体負荷を覚悟していました。
 ところが、Schloss Laxenburg(www.schloss-laxenburg.at/en/)のHPを眺めていたら、個人の遊具類は全て持ち込み禁止とありました。が、幸い、手漕ぎのレンタルボートがありました。
 結果論ですが、ラクセンブルクのバス駅(Laxenburg Franz-Joseph-Platz)で下車し、湖畔のボート乗り場に至るまで、身軽であり、緑豊かな環境を呑気に散策し得ました。

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Franzensburgを東側から撮影(左)。南に移動し、魅せられて撮影(右)

 改めて、ラクセンブルクについて情報収集をすると、由緒ある王家の人々が愛した夏の離宮と知り、例えば、宮廷生活で、息苦しさを感じていた自然児シシィは広大な森での乗馬を楽しんだ由で、結果、同地で、ルドルフ皇太子の出産、保養にも至ったとの理解は浅薄でしょうか・・・。そのようなことにも思いを巡らせつつの散策で、事前学習で見覚えのある湖畔の出艇地に到着しました。

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Schloßteichの南湖域にある歩道橋Gotische Brückeゴシック橋も遺跡(左)。至近地のGrotte (右)

 出艇地界隈に親しんだ後、北上し、同地の観光名所であるFranzensburg が視界に入りました。島に存在する同城への観光ルートは、ミニトレインLaxenburg Expressに乗り、フェリーで島に移動するのが(有料ですが)最短です。フェリーはケーブルカー同様の牽引方式でエンジンの無い箱船です。丁度、賑やか中学生らしき一行が乗船し、Franzensburgに入りました。「校外授業?」と思いつつ北へ。
 稀に湖畔散策を歩く人を目に留める程度で、小鳥の囀りを除けば、静寂・上質な湖面をゆっくりと漕ぎ続けました。北端付近も朝の陽光が射し、美しい限り・・・。東隣の島には遺跡・廃墟があります。「城公園の北端で、この先には行けない」とのWeb情報がありました。東側に艇を進め、順光で記念撮影。
 東湖岸沿いに南下すると、Franzensburgに歩いて渡る二つある橋の東橋が見え、かつ、南方から電動レジャーボートが来るのが見えました。孫を連れた老夫婦と思える三人が乗ったボートが橋の下を通過するのを待ち、挨拶をし、西側へ。二つ目の橋は、山形の美しい石橋で、城館とのコラボが美しい限りです。北からの微風に流されつつ、橋の下を南へ抜けました。抜けた後も、美しさに心奪われ、環境に浸りました。城館の南にはレストランがあり、テラス席は賑わっていました。
 ボートをさらに東湖岸沿いに南へと漕ぎました。南端にも、遺跡があります。Gotische Brückeゴシック橋は、下を潜り抜け、入り江状の環境に親しんだ後に戻りました。至近のGrotteは、進入禁止で、湖面にロープが張られていました。ここを進むと、洞窟があるはず・・・ですが、確認に至らず。
 時計回りに漕ぎ、出艇地界隈に到着し、係員に「戻ったよ!」アピールをした後、再び、北側へと艇を進め、余韻に浸った後、艇を返しました。
 この間、約2時間弱、電動レジャーボート数艇と遭遇しましたが、手漕ぎボートは小生のみでした。
 ウィーン中央駅への路線バスバス200は30分毎の運行です。時間調整し、復路も運転手横のベスト席を確保し、車窓を楽しみました。
 Laxenburgの広いSchlossteichで、本音は持参カヤックを漕ぎたかったのですが、持ち込み禁止ゆえに、今回は手漕ぎボート・・・ 止むを得ないことでした。

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 鳥取県東部医師会報 2025年11月号の原稿です。

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