悠々 カヤック:写真紀行
[(15)美ら海を北へ]
路線バス[65]で塩川に移動後、至近の浜で出艇し、北上開始(左)。海中に魅せられつつの撮影(右)
初体験の海でのシーカヤックとなれば、当然ですが、安全漕艇が最優先・第一です。本州より早く梅雨入りし、早く梅雨明けする沖縄。6月下旬に梅雨明けするのが通例で、2022・2023年は各々梅雨明け情報を待ち臨んでいました。山陰海岸ジオパークエリアは、梅雨明けすると、南から高気圧がせり出しても、北側の沿岸は午前中、南風が遮られ凪になり易い。この常識が沖縄では通用しませんでした。
夏至南風(カーチーベー)のことは、催行時期を検討しつつ、現地のプチホテルのオーナーと授受をして知りました。大海原にある沖縄は、梅雨明け後、太平洋高気圧がせり出すと、10m/s.程度の強い南西の風が吹き、海は荒れる。そして、2週間程度経つと、高気圧の下に入り、風は落ち着くとのこと。
2022年7月13日は穏やかな天候に恵まれ、凪の海で、再三再四、海中をも眺めつつ、美ら海を北上しました。一方、翌年7月の滞在中は、致し方ないことですが、6-7m/s.の南風に苛まされ続けました。
シュノーケリングの名所「ゴリラチョップ」。大岩はゴリラ顔。浜の近くでは子どもたちも戯れています。
環礁の内側、サンゴ礁の海も、風が4m/s.程度吹くと、海面が波立ち、塩化ビニール製の軽い艇は容易に流され、かつ、海中を眺め、水中カメラで撮るには至りません。2023年7月は、水中カメラの出番がありませんでした。結果的に、呑気に海中を眺めつつ、艇を漂わせ得た2022年は幸いでした。
美ら海を本部港の南から海峡を漕ぎ、瀬底島の東部沿岸へ(上)。干潮の浜に艇を上げ、小休憩(下)
ゴリラチョップは、本部港の南隣接地です。のんびりとした後、海峡を漕ぎ、瀬底島へ向かいました。
この界隈は、本部町で、本部半島の北西端に「美ら海水族館」があります。「美ら海の本部町」を宣伝する看板をバス車窓から少なからず目にしました。
名のごとく、美しい海で、魅せられ続けました。
浜での小休憩後、瀬底島東岸域の美ら海に魅せられつつ、ゆっくりと北へ。多少の追い風で心地良い漕艇
浜に上がる際は、大きな波が来ない環境が安全のために最優先です。次いで、サンゴ礁の刺々しい岩がない浜であること。この条件を確認し、艇を浜に直角に保ち、勢いをつけて漕ぎ、砂浜に乗り上げます。砂浜ゆえ、パドルを地に垂直に押し、支えとして、艇からバランスを保ちながら腰を浮かせます。日頃からの平衡機能訓練、腰~下半身の筋トレは必須です。何歳まで漕げるかの試金石になります。
艇に入る際は、浅瀬に片足を着けて、艇を跨ぎ、艇の中央に反対足を置いて、艇のバランスを確認した上で、腰を屈めつつ、速やかに乗り込み、下肢を伸ばします。艇に入る際と比べ、艇から上がる際が難しいのです。航空機の安全運航も離発着が重点で、着陸時が難しいと承知しています。同様です。
瀬底島岸の景観と色合いに魅せられつつ、ゆっくりと北上:対岸・本部半島は本部港エリア
[悠悠々カヤック写真紀行]は、これまで組写真が定番でしたが、美ら海に魅せられて、例外的に、一枚写真も採用しました。なお、瀬底島の形状はオタマジャクシのようで、北側が頭部、南がしっぽ(名称は「瀬底のしっぽ」)です。本部港の対岸は頭部が近い地で、海峡が狭まる海域です。既に、北側に、ランドマークの瀬底大橋が徐々に近接するのを眺めつつの優美・上質なシーカヤックでした。
瀬底島側から見上げる瀬底大橋。西の起点はアンチ浜(上)。同浜の北側はマリンレジャーで賑わう(下)
アンチ浜。アンチも沖縄言葉なのだろうが、漢字がヒットしない。唯一、ウィキペディアに「安置」とあるが、一方、当地の観光案内版には、[アンチ浜 Anchi Beach ANCHI 海濱 ANCHI 海滨]等とある。なぜ、[安置浜 安置海濱 安置海滨]でない? また、[安置 沖縄]で検索すると[アンチ浜]がヒットする。或いは、昔の海難事故関連で、遺体の安置・・・。で、アンチが定着したのかも・・・・・・。
瀬底島と本部半島を結ぶ美しい瀬底大橋:橋の下からの遠景・北方向はは美ら海水族館などリゾート地
瀬底大橋は1985年完成、橋長は762mで、瀬底島、本部半島間の海峡を跨いでいます。(本部町観光協会の空撮写真は一見に値します。[瀬底島 本部町観光協会]で検索を!)アンチ浜の東は、即、海峡領域で、流れがあり、遊泳は禁止されています。一方、浜の北は地形的に安全な湾形状で、海水浴やシュノーケリングなどで賑わっています。
この日の干潮期は過ぎていましたが、サンゴ礁の浅瀬で難渋:階段↓(上)。足元のサンゴと熱帯魚(下)
フェリーなどが通過する瀬底大橋の下、とくに、中央の150m区間は、船舶航行の支障にならないよう、細心の留意をしての横断でした。かつ、速度がある小型船通過時も、その航跡には留意します。即ち、転覆の誘因となる横波を受けないよう、波と直角に保つ漕艇です。
幸い、当日は難なく、橋の直下、南海域を東へ約500m、大橋を見上げ、周囲の景観を眺めつつ、漕ぐことが出来ました。瀬底大橋東詰めの北側に浜に降りる遊歩道の階段があり、同付近が目的地です。
この日はスーパームーンの前日で、干潮期は過ぎていましたが、想定し得なかった環境に絶句!
つまり、干潮で、サンゴ礁の海が浅過ぎて、浜まで艇を寄せることができなかったのです。結果、この日の漕艇コースで、最も難関な地となりました。
艇底を擦らないよう、海底の環境を確認しつつ、艇を進めましたが、腹びれが再々コツン!動きがとれなくなり、致し方なく、艇から降りました。
ビーチサンダルを履き、慎重な動作をしましたが、残念ながら、樹状サンゴが砕ける感覚が足底に・・・。残念至極でした。
小生が降りて軽くなった艇をロープで牽引し、足元を丁寧に確認しつつ、慎重に歩を進め浜に到着し、安堵。
砂浜での収納作業は、砂が付着して困るので、艇を抱き抱え、散策路の階段を上がり、コンクリートの踊り場構造の地に艇を降ろし、空気を抜きました。
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地図(Google)と漕艇コース約6kmの概略を示しました。
なお、地図の白線は、艇を携えて歩いた地です。
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追記)NHK-TV天気予報で、沖縄の今年の梅雨入りが遅いことが報じられていた。「2022年は例年より6日早く、2023年は8日遅かった」とも。これで納得できた。2022年は沖縄が太平洋高気圧の下にあり、微風で、2023年は夏至南風(本文冒頭)が残っていたと理解できた。今後、沖縄でカヤックする際には留意したい。7月海の日に帰鳥の日程でなく、この前後を沖縄に滞在するのが良い。(5/23記)
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◆ 鳥取県東部医師会報 2024年7月号掲載(p.34-39)の原稿です。
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