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[(12)備瀬の海

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備瀬の海:南風なので、桟橋の北側から出艇▼(上)。出艇後、南のリゾートホテル前の海域を撮影(下)

 侵略戦争で、スイスへの渡航不能の2022、2023年7月は沖縄へ。2年連続で名護市[ホテルゆがふいんおきなわ]に6連泊しました。スーパームーンの干潮に苛まされた前年(前号)と異なり、2023年7月11日(水)は小潮。路線バスで移動し、備瀬の海で出艇しました。3m/s.の南風の予報を考慮し、本部半島北西端の備瀬崎を通過し、サンゴ礁の海が広く広がる北海域を東へ漕ぐ計画の実践です。

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備瀬崎の西にある神聖な島ミーウガン(上)。$は同じ岩。北に漕ぎます(中)。観光客が多い東(下)

 約10㎏のカヤック等を入れた麻袋を持ち、ホテルから西へ約350m歩き、県立北部農林高等学校前のバス停から本部半島時計回りの路線バス65に乗車。海を見ながら、美ら海水族館前を通過し、備瀬出口で下車し、備瀬海岸まで約400m歩き、出艇地着。路線バスの本数が希少で、かつ、出艇後は、前号の古宇利島は例外でしたが、原則、片道の漕艇コースです。地図で、海岸に近いバス停と上艇適地の綿密な下調べは必定です。(スマホのGPSを使わず、)景観、体感距離を基に、本番に臨みました。

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小潮の備瀬海岸北海域でも奇岩との遭遇が相次いだ。冬の荒天などによる石灰岩地帯の奇岩造形

 備瀬の海はサンゴ礁の環礁に広く囲まれています。本部半島の北西端となる備瀬崎は、海岸至近に30台程度駐車可能な無料駐車場があり、人気スポットとなっています。海は透明度が高く綺麗で、シュノーケリングや海岸を(フクギ並木を含め)散策する観光客が目立ちます。とくに、干潮期は、浅瀬に残る熱帯魚が見易いことでも人気ですが、小生には、危険な海域となります。即ち、ゴム(塩化ビニール)製カヤックなので、ゴツゴツした岩場は漕艇上の難所と化すのです。当日は難なく通過し得ました。

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奇岩の間に綺麗な名無しの砂浜(上)。北側(・南シナ海)はサンゴ礁の環礁が自然の防波堤となって消波(下)

 南風に艇を漂わせるがごとく、岩場に近接しすぎないように多少のパドリングをし、環境に浸りました。ゆっくりとくつろぎ、備瀬崎を通過後は、計画通りに、本部半島の北海域を東へと優雅な漕艇。
 前年7/14スーパームーンの干潮に苛まされ、稀有な奇岩に遭遇し得た記憶(前号)が蘇りました。この日は小潮の海でしたが、備瀬の北の海岸でも奇岩が相次ぎ、驚嘆し続けたのです。南風が影響しない北岸の凪の岩場が続く海を、奇岩を見上げつつ、ゆっくり漕いでいたら、ゴツン!浅瀬に遭遇し、艇の腹ひれが岩を擦った!逆パドリングし、海底を眺めつつ、迂回する漕艇を余儀なくされました。

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連なる奇岩・海に魅せられつつの漕艇中、著名な備瀬のワルミだと確信()。自称ゴジラ岩(左下)

 備瀬崎を北に抜け、東に進むと、やがて見逃せない名所「備瀬のワルミ」があります。業者カヤックでも紹介してある自然の造形(ワルミ≒岩の割れ目)であり、陸路は私有地を通過せねばなりません。観光客が狭い道路に(レンタカーを)駐車し、ゴミを放置したことなどで、現在は立ち入り禁止!
 結果、今日では、海からのみ「備瀬のワルミ」に近づき、潮位によっては、上陸も可能になります。
 近接する途中、避けた大きな口、力強い鼻、眼光鋭い目の怪獣、ゴジラを連想した岩に遭遇!

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初体験、備瀬のワルミ()と確信(左)。備瀬のワルミは“神秘的なパワースポット”の形容(右)

 初めての海域で見逃せないのが備瀬のワルミ。近接し、「間違いない」と確信しました。ワルミが見通せる地で、浜に最接近。崖の岩場には南国を象徴する樹木を目にし、映画キングコングの孤島・秘島を想起!小生以外人気のない地での記念上陸も可能な環境でした。が、漕ぎ始めて間もないこと、観光名所としてのパワースポットには関心を抱かず、撮影をしつつ、眺めた後、艇を東へと進めました。
 漕いで来た西側を振り返り、異なって見える景観にも魅せられ、怠ることなく記念撮影。時間に余裕のある行程でしたから、風も弱く、景観に親しむ至福のひと時でした。

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漕いで来た海域を振り返り、記念に撮影(上)。3艇のSUPに遭遇し、通過後に撮影(右)

 夏休み前の平日所以なのか、業者カヤック等との遭遇がないことに首をかしげながらの漕艇でした。出艇1時間余が経過した海域で、上半身裸のインストラクターと若い男女の3艇のSUP(Stand Up Paddleboard)に遭遇。「こんにちは~」と交わし、備瀬のワルミを示しているであろう様を通過後に撮影。ただし、ゆっくり進むSUPで往復するには距離があります。(漕ぐ気になれば、カヤックは速い。)

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視界が良く、沖合に島影を視認(左)、海と奇岩に魅せられつつ(中)、目的地の今泊の浜に到着(右)

 この日は視界が良く、北方に島影を視認し続けました。伊是名島、その北に伊平野島があり、島影が連なっているので、両島の山部分が見えていると分かります。地図で計測すると、約25~40km沖合です。今日では視認が難しくなりましたが、約半世紀前、鳥取・米子間をマイカーで国道9号線を走行中、「オ!今日は隠岐が見えている」と発し、慣れない人が同乗している際は、路肩に駐車し、視認してもらった思い出があります。計測すると最短となる大山町から島前~島後は、約70~85kmです。但し、若干標高がある道路からのことです。海面に近いカヤックからの視認なので、限界があります。

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 地図(Google)と漕艇コース(概略 約7km)を示しました。地図上 $・◎ は同一地点です。

 写真記録で振り返ると、目的地・今泊の浜で艇から上がり、記念写真を12:45に撮影。砂の付着を最小限にすべく、公園様の地まで抱えて移動し、空気を抜き始めました。パドル(5分割)や電動ポンプと共に、専用の麻袋に収納し、バス停が正面にある北山商店へ。店内に入り、息抜きをと予定していましたが、何気なくバス時刻表を確認しようと、見たら!何と、路線バス65が近接!慌てる気持ちで乗車。13:10で、乗客は小生のみでした。羽地内海などの車窓を楽しみつつ、名護バスターミナルに帰還。
 ホテルは500mの地。約10kgを抱え、汗かきの陸上労働!カヤックでは汗かきの感覚は皆無でした。

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以下、HP版のみの追加写真

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13:10 路線バス[65]は貸切

13:26 車窓から愛でる羽地内海

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沖縄の瀬戸内海との形容がある潮期の羽地内海

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 鳥取県東部医師会報 2024年1月号掲載予定の原稿です。

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