悠々 カヤック:写真紀行
[(19)ルンゲルン湖]
ラックレイルで降りつつある観光急行の車窓に飛び込んで来る大好きな光景:ルンゲルン湖(車窓撮影)
2015年、スイストラベルパスを活かし、グリンデルワルトに7連泊した際、ルツェルンに出かけた。目的は、観光船でフィッツナウに移動し、リギ登山鉄道でリギ山を体験することでした。インターラーケン・オスト(東)駅始発の観光急行Luzern-Interlaken Expressで車窓を眺めていると、シャーロック・ホームズ終焉の地マイリンゲンで方向を変え、ラックレイルも活かして氷河谷の崖を上ります。間もなく下り始めて、車窓左側の景色が開けると、朝の光を浴びて輝く印象的な光景が目に留まります。ルンゲルン湖Lungernerseeです。
ルンゲルン駅で下車(左上)し、約800m歩き、60m下ると湖畔(上中)。出艇準備完了(右上)。出艇後撮影(下)
ルンゲルン湖を検索すると、南湖域でカヤック、SUPやゴムボート、水浴する光景が得られます。広さは湖山池の約2/3程度で、山裾の湖で風に恵まれ易く、カヤックに適した湖であると評価をしました。
初探訪地では、出艇・上艇地の確認も必須です。幸い、駅から北に少し歩いた後、Eibach(アイ小川)沿いの小径を下ると、観光名所の出艇適地に至ります。距離は約800mですが、難題は60mの高低差で、とくに、駅に戻る際は、約10㎏のカヤック一式を携えての復路です。童謡「行は良いよい帰りは・・・」の例えの通り、往路の下りは容易、復路の上りは辛いのですが、チャレンジを決めていました。
実際、出艇・上艇には適した地でした。出艇後に、記念の振り返り撮影をした後、北上しました。
北に漕いで間もなく古教会の見張り塔(上 ↓)。干上がっていた浅瀬は砂利(下左)。右・東は暗礁(下右)
ルンゲルン湖の周囲の景観・ランドマークは、事前に地図で研修済でした。北に漕いで最初に見逃せないのが、車窓からもフォトスポットとなる、古教会の見張り塔です。一方、この界隈には、写真と地図で、形状が不確かだった浅瀬がありました。今回は、沖合側は干上がっており、砂地と思い込んでいましたが、砂利でした。東側は暗礁で、湖の水位が下がるとつながります。一方、増水期は暗礁。
浅瀬を通過・北上し、漕ぎ続けました。気づくと、峰に雪を抱いた高山が・・・。名称?
南南東方向に高山が見えた(上)。後日確認のための望遠撮影(枠内)。観光急行がルンゲルン駅へと通過中(下)
湖面に居て、観光急行Luzern-Interlaken Expressを眺め、撮ることに憧れを抱いていました。はい。74歳の身ですが、年齢を重ねても嬉しい限りの光景です。性分が幼稚なので・・・の自己評価です(笑)。
ルンゲルン湖の北:北西部(上)は牧草地が稜線まで広がっていた(枠内)。西南方向を振り返り撮影(下)
風がなく鏡面に近いルンゲルン湖を北湖域まで漕ぎ、列車の走行音を気にしつつ、周囲を眺めていた。北西側は牧草地が稜線まで広がっており、正しくスイスの光景。東湖岸の半島部に遮られて出艇地・南端が見えないが、西南方向然りで牧草地の色合いが針葉樹との対比で心地良い。
艇を出艇地に向けて漕いでいると、南側の視界が開けた。遠望した高山は連山を成している!
北に漕いでいたら高山の連なりが・・・(上)。静寂な湖面から記念の望遠撮影(下)
伯耆大山と背比べをする低山・孝霊山の例・・・。当地でも北湖域に漕いで来たら、南の高山が連山となって姿を現しました。ルンゲルン湖に係るスイス政府観光局の情報では、ベルナーオーバーラント三山の紹介がありました。が、三山は北から眺めると、左にアイガー3970m、中にメンヒ4110m、右・西南にベルナーオーバーラント地方最高峰4158mのユングフラウと連なります。ルンゲルン湖の南に見える高山は形状と配列位置が大きく異なります。ベルナーオーバーラント三山ではありません。地図を詳細に調べ、右の三角形の山はシュレックホルンSchreckhorn4078mと診ました。4000mを越える最北端の峰!
ルンゲルン湖の南西部を眺めていたら観光ゴンドラが目に入った(〇の地)。何とか望遠撮影し得た(枠内)
ルンゲルン湖は、スイスの観光地としてはマイナーな位置づけです。ゴンドラ(組写真)を目に留めたのは、全く想定外でした。スイス連邦鉄道のHPには、ロープウェイはLB(Lift Bahn)と表記されます。当地では、自身行先にコレと言った意志がないため、検索歴は皆無でした。LBは観光地を結ぶ位置づけがあるのでしょう。〔地球の歩き方〕には、ルンゲルン湖自体が紹介されていません。
転じて、滝も目に留まりました。艇を寄せつつ、望遠撮影もしました。滝は山中の水路から水が噴出する構造のようです。また、吹き出し口の屋根部分の構造は、或いは、散策路になっているのか・・・。
スイスで山歩きをする際に(近年は国内然りで)活用している komoot で検索するのもあり得るか・・・。ただし、この際も、目的地を明確にしての作業で、ルンゲルン湖と駅以外の土地勘が皆無の身ゆえ、ハテどうなることやら・・・。曖昧模糊とした記述に留まります。
滝の下へと艇を寄せたら沖縄のマングローブ林を想起(左)。滝を望遠撮影(中)。ミニ探検調で艇を進めた(右)
まさか、ンゲルン湖に居て、沖縄のマングローブ林を思い出すとは・・・。雰囲気が似通っていたのです。川の下流部は、樹木に囲まれる環境でした。上流に漕いで行くと、結果的には、奥は浅く、行き止まりになりました。が、雰囲気は一人前で、レジャーカヤックでも当地を〔探検〕するのかも知れません。しばし環境に浸り、正午の教会の鐘が響くのを聞きつつ、樹木の枝の下を潜り抜けるなどの戯れ。後、ルンゲルン湖の南岸、レジャー地帯を漕ぎ、達成感を得た後、出艇地に戻る漕艇を続けました。
艇を上げ、収納作業中、若い女性が近寄り、服を脱ぎ、タトゥーが賑やかな肌で、何と上半身裸に。目が合い(豊満な姿に見惚れて?)「Hello! You are beautiful!」とご挨拶。笑顔での返答。
艇を収納し、ルンゲルン駅へ往路と同様の小径を歩きましたが、10kgほどの荷物を持って歩くのは、流石に辛く、ついに、途中で降ろし、飲水を繰り返し、ガンバッテ高低差60mの上り道を歩きました。1時間毎の観光急行に間に合わせるための急ぎ足調でした。この移動でも達成感を得て、ブリエンツまで乗車。鉄道駅至近の桟橋に停泊中の観光船に乗り、カヤックを入れた袋を置き船内を散策し、撮影。
SBBスイス連邦鉄道の私鉄を含む鉄道、バス、観光船が自由に乗れる「One Day Save Pass」を(格安となる2カ月以上前に50CHFで購入し)保有していたので、乗船は自由でした。ちなみに、桟橋至近、乗船券窓口には運賃片道35CHFとありました。パスの有効活用です。(CHF:スイスフラン)
出航は1時間後でしたが、既に、少なくない観光客が乗船し、ゆったりとした時間を過ごす様には心地良さを感じたほどでした。
ブリエンツ湖観光船BRIENZ号は目的地インターラーケン・オストに向かいます。一つ手前の観光保養地Bönigenベーニゲンの桟橋に近接した際、穏やかな天候と、賑わう様を見て、下船しました。
BRIENZ号の出航を眺めた後、この日二度目の出艇を達成し得ました。
~ ~ ~
最後に、ルンゲルン湖の湖上から眺め得た三角形の高山は、スイスアルプスで4000mを越える峰では、最北端に位置する4078mのSchreckhornシュレックホルンと診ました。(Google Map参照)ベルナーオーバーラント地方最高峰4278mのFinsteraarhornフィンシュターアールホルンは、シュレックホルンの後方に隠れて見えていません。
ルンゲルン湖の西方、ブリエンツ・ロートホルンBrienzer Rothornに上る蒸気機関車から眺めるEigerアイガー等三山の写真を本会報(2020年11月号、No.450)に掲載してあります。
また、2019年3月号、No.440には、ピラトゥス山から眺める三山等の写真もあります。
山容・位置の違い等、参照願います。
付) 地図 W: Wetterhorn 3690m、M: Mittelhorn 3702m
~ ~ ~
以下、HP限定資料等
~ ~ ~
Brienzer Rothorn
~ ~ ~
Pilatus
~ ~ ~
Grosse Scheidegg
~ ~ ~
Bachalpsee
★ シュレックホルンの山塊は、Grindelwald に落ちる崖の上が、Mettenberg 3104m、次いで、Ankenbälli 3160m、Gwächta 3163m、Kleines Schreckhorn 3495m、Nässihorn 3741mと連なり、最高峰のSchleckhorn 4078mに至ります。その後方はLauteraarhorn 4042m。で、未だに、Kleines Schreckhorn 3495mがどの峰なのか??
★ シュレックホルンは、スイスアルプスで4000mを越える峰の最北端に位置し、Finsteraarhorn 4274mはベルナーオーバーラント地方の最高峰
★ 撮影は、バッハアルプ湖(上の湖の湖畔トレイル)で、人が立つ向こう側に下の湖があります。大迫力!
_/ _/ _/
◆ 鳥取県東部医師会報 2025年3月号掲載予定の原稿です。