悠々 カヤック:写真紀行
[(16)瀬底のしっぽと北海域]
2022年7月10日(月)本部港の南から瀬底島Sへの海峡を移動:北に瀬底大橋を遠望▼(上)。
南風を避けるため、大防波堤▼に近接:瀬底のしっぽ↓(中)。那覇に向かうジンベイ・マリン(下)
前号の姉妹編です。2022年の7月の初回漕艇時から気になり続けていたのが、瀬底のしっぽ。オタマジャクシ形状の瀬底島は北が頭部、南に尾部があり、瀬底のしっぽ海域は広いサンゴ礁の海です。
前年同様、塩川のバス停至近の浜で出艇しました。南西方向からの風が強めで、海面が波立つ環境であり、前年と異なり、艇を漂わせて、海中を眺めることが出来ず、海岸の景色を眺めつつ、かつ、波立つ浅瀬・暗礁に留意し、塩川ビーチ、岬本部ビーチでマリンスポーツに興じる若者を目にしながら北上しました。本部港南の入江形状の浜にあるゴリラチョップも凪にはならず、子どもを連れた家族は不在。
瀬底のしっぽへと、対岸の瀬底島に向かいました。が、南西の風に苛まされ、大防波堤に艇を寄せ、風よけの小休憩。海面は穏やかで、微風状態。ジンベイ・マリンの通過を待って、瀬底島へと漕艇。
瀬底島の美ら海の東岸沿いに南へ:瀬底のしっぽ(左)。近接(右)
午前中ゆえ、陽光が射す瀬底島の東岸は、とにかく美しい限りでした。文字通りの美ら海と島の緑に和みつつ、向かい風に対してセッセと漕艇し、瀬底のしっぽ海域に到着。
初体験の海で安全なシーカヤックとするには情報収集は不可欠です。広いサンゴ礁の海が凪ぎの場合は、出艇地が不明ですが、SUPが出ている写真をネットで見ます。が、この日は、南西から4-5m/s.の風が吹いており、SUPやカヤックは、自身の他は皆無でした。
環礁に広く囲まれたサンゴ礁の海~瀬底のしっぽ海域:西(左)。北(中)。東:漕いで来た方向(右)
瀬底のしっぽ近接の海から300-500m離れた環礁で波が砕ける様を見ました。残念ながら、風により瀬底のしっぽ近接の海は波立っており、海中撮影は基より、呑気に艇を漂わせることは適わず仕舞い。
瀬底のしっぽ海域を西に漕ぎ、西岸を北上することもシミュレーションしました。が、瀬底島の西南海域はサンゴ礁の海が狭く、南西の風が吹きつける外海で、うねりが高いことが予測されます。
南西部で環礁に波が砕ける様も確認し、安全第一で、東岸海域を北上することにしました。浅瀬・暗礁には常時留意が必要ですが、風光明媚な環境下、追い風で“楽な”シーカヤックとなります。
瀬底島の東岸域を北上:南風を避ける岩と砂浜(左)。風が遮られて凪(中)。艇を上げて小休憩(右)
瀬底島東岸域の中間地帯に半島状に大きな岩がせり出した地があり、その北側が砂浜となっている地形を目に留め、小休憩地としました。即ち、南風が岩で遮られ、この北側が凪になるとの読みです。
読みは大正解で、難なく上艇が出来、美しい景色を堪能し得ました。ボーナス的景観も!即ち、海に突き出した岩の下が洞門状に穴が出来た構造です。浜の名称は見出せませんでしたが、同岩の基部に遊歩道的な石段がありました。調べたら、Booking.comにPapillonなるオーシャンビューゲストハウスがあり、“穴場ビーチ Secret beach”の表記が・・・。小休憩中は無人で、貸切状態でした。
沖縄のサンゴ礁の海でのカヤックで、無人島や無人の浜で小休憩は、嬉しく稀有な体験です。
瀬底島の東岸域を北上:瀬底大橋を遠望(左)。海岸の美しい景色と海の色合いに魅せされつつ、追い風でゆっくり(右)
小休憩地の対岸は本部港界隈。再出艇後、間もなくに瀬底大橋を遠望しつつ、美ら海に魅せられ続けて北上を続けました。2022年7月の初体験(前号「美ら海を北上」)と重複する海域ゆえ、割愛します。
瀬底大橋の西詰・瀬底島側はアンチ浜で、前年より賑わっていました。ゆっくりとした漕艇で、反時計回りに瀬底島の北海域を西へ。北端を過ぎると向かい風で、瀬底ビーチの賑わいを目にして、転進。
瀬底ビーチからの復路:瀬底島北岸域での点描。望遠撮影した伊江島タッチューと高速船
瀬底ビーチからの復路は、再び追い風となり、呑気な漕艇でした。この界隈はヒルトン・関連の高級ホテル等があり、マリンレジャーも都会並み。
渡久地港を起点に水納島を往復する高速船の往来を目にし、追い風の復路は、伊江島タッチュー(城山)の手前を通過中に望遠撮影。多少は揺れるカヤックから及第点評価の記念写真が撮れました。調べたら、標高172mのタッチューまで約9km、高速船の航路まで約1.2kmでした。
瀬底島の北海域は環礁により凪の海。航跡による波(左)。ポセイドンの槍に見えた奇岩(右)
風は南西、瀬底島の北端を過ぎると凪の海。弱い追い風を受けつつ、のんびりしたシーカヤックで、同地でも想定以上の美しい海岸に魅せられ続けました。童歌“行きは良いよい、帰りは怖い”の逆で、行きは向かい風に抗し、復路は環境に浸り優美なカヤックでした。環礁で波が砕ける様は目にしましたが、漕艇海域は凪で、レジャー船が通過した余波で海岸線の岩場に波が寄せる程度でした。
瀬底島北部でも奇岩には驚きました。一例として、観光名所にもなり得る、ポセイドンの三叉槍を想起させた岩!その成因は?[ポセイドンの三叉槍]と命名(笑)。
瀬底島の北東部:瀬底大橋と美しい海(左)。アンチ浜を飲み込む怪獣(右)
瀬底島の北海域を東に抜けると、優美な瀬底大橋を眺め、美ら海を堪能しつつのゴール間近のシーカヤックでした。
瀬底大橋西詰のアンチ浜に近接したら、まるで浜を飲み込むような巨獣岩の様も目に留めつつののんびり漕艇。アンチ浜には、シースクーターと同機が牽引するバナナボートなど、マリンレジャーに興じる観光客がいます。それらを避けつつ、海岸に近づける漕艇でした。アンチ浜から瀬底大橋に近接し、仰ぎ見つつ、北側を本部半島に向けて漕ぎ始めたら、何やら大声が聞こえました。舳先を浜に回して眺めると、水難事故など、事件性はない光景。再び海峡に向けて、漕ぎ始めました。
フト気づくと、シースクーター(・バイク)に乗った若い男性が小生に声をかけていました。「橋の下は大型船が通過するので危険ですよ!」と。さらに、「どこに行く?」「どこから漕いで来た?」と。「塩川で出艇し、海峡を漕いで、瀬底のしっぽに行き、東海域を北上し、瀬底ビーチに出て、折り返し、瀬底大橋の東詰めで艇を上げる」と話したら、鳩に豆鉄砲の表情。アルバイトの若者が、マニュアル的に観光客がアンチ浜から、海流の速さが増す海峡部に入らないようにと、声をかけて来たと理解しました。
この日の漕艇コースは約13km(keisan.casio.jp)でした。地図(Google)と漕艇概略を示しました。
この日は出艇から約4時間半のシーカヤックでした。フィナーレの組写真です。
瀬底大橋を仰ぎ見つつ、東の起点へ:計画通りに浜で上艇(枠内14:24 対岸が瀬底島)
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◆ 鳥取県東部医師会報 2024年9月号掲載(p.25-31)の原稿です。
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