悠々 カヤック:写真紀行
[(10)諸寄の海は秀逸]
2022年10月16日(日)塩谷海水浴場で出艇。対岸は諸寄漁港(左下)。凪の湾内(上)。振り返り撮影(右下)
山陰海岸ジオパークエリアを各所で漕ぐ思いは潜在していたが、諸寄の海で漕ぐ気持ちが湧いたのは、彼女が陸路を矢城ヶ鼻灯台まで歩いた際に、「海が綺麗だった」と話したこと。で、出艇地を諸寄漁港の東に位置する塩谷海水浴場と定め、矢城ヶ鼻灯台が見える地まで北上した後、海岸線をゆっくり漕ぐ計画とした。
実践し得たのは2022年10月16日(日)で、風が弱まる時間帯限定での漕艇を決めました。
出艇地から見えるのは、湾内を凪に保つ諸寄港沖防波堤で、先端には灯台。灯台の右側を北へ漕ぎます。塩谷海水浴場を振り返り撮影し、いざ外海へ。
矢城ヶ鼻灯台が見えた(左)。近接し、望遠撮影(中)。太公望が・・・。南東に漕ぎ、振り返り撮影(右)
防波堤を過ぎて、外海になると、残念ながらうねりが・・・。一気に、矢城ヶ鼻灯台が見える海域まで漕ぎました。記念に灯台を撮影し、海岸線沿いにゆっくりと南下します。
一方、予想外に多くの太公望を見ました。釣りの支障にならないように、迂回しつつの南下でした。
かつまた、予想外に変化に富む海岸線に魅せられ、撮り続けました。以下、抜粋した組写真です。
軽量の艇ゆえに、岩間を縫って奥に進入し得た。[架け橋岩](左)。海で甌穴を初体験(右)
甌穴は、鳥取県東部では赤波川渓谷が著名ですが、海では未体験でした。地図で海域を眺めていたら[諸寄 池の島の大甌穴]がありました。海面からは確認不能です。
甌穴は渓谷特有と思っていましたが、「波の作用による川底や河岸の岩石面上にできる円形の穴・pothole」「波の作用によるものは海蝕甌穴」とウィキペディアにありました。国の天然記念物が9か所、赤波川渓谷甌穴群は鳥取市のHPで紹介があります。
綺麗な海に魅せられつつ漂っていたら、洞門らしきが・・・★(左)。洞門★は小規模で陸の上(右)
山陰海岸ジオパークエリアでカヤックをする際、洞門・洞窟との出会い、それらへの進入に心が動きます。この海域で、初めて、洞門に出会いました。が、残念ながら、陸上にある小さな規模でした。
周囲の海は透明度が高く、北方向の風が吹かない超凪であり、艇を漂わせていても支障がないため、環境に浸り、幸せを体感しつつ、一方、ファミリーカヤックの適地と認めた次第でした。
通過した浅瀬の振り返り(左上)。命名[地蔵岩](左下)。[プライベートビーチ] (右上)。振り返り撮影(右下)
ゴム(塩化ビニール)製の米国 Intex 社のCHALLENGER艇には、硬質プラスチックの腹鰭(ひれ)があります。岩場の浅瀬では、艇底のゴムが擦れる前に、鰭がコツンとつかえます。が、幸い、懸念しつつも、浅瀬の移動が可能で、海岸寄りの漕艇が楽しめました。四角形状の岩の上に、まるで地蔵さんが並んでいる様を見て[地蔵岩]だなぁと、独りよがり。
さらに復路を漕ぐと、往路で沖合から眺めたビーチが近接しました。素潜り漁の小型船を時々見かけましたが、迂回して漕艇をします。12:11の西方向の振り返り撮影では、写真左端の集落が諸寄です。
陸路で体験できそうにない[プライベートビーチ](左)。上陸記念の撮影(右)。夏は家族で・・・。
国土地理院地図#に、浜に降りるルートが記載されていない[プライベートビーチ]は、カヤックゆえに、容易に近接できます。勿論、釣り用の渡船を借りて探訪することは可能です。家族で、夏の海水浴には適した環境と見ました。
近接記念に、艇を浜に上げ、記念写真を撮って、意図的に“小休憩”しました。
#:Google 地図では散策路(獣道?)らしきが見えますが・・・。→◆末尾
多様な変化を呈する入り江に漂い(左)つつ、アングルを変え、撮影の繰り返し(右)
岩場の多様な環境に浸り、つい、撮影を繰り返しました。気に入り写真を抜粋しての組写真ですが、改めて、原稿を書きつつ眺めると、カヤック中の心境を思い出します。入り江は浅瀬であるがゆえに、素潜りの舟は皆無で、環境全体が貸切の状況でした。
下手な解説文よりは、組写真が物語ってくれましょう。
界隈を地図で確認していただければ、納得していただけましょうが、プライベートビーチから出艇地の塩谷海水浴場までの海岸線は、凪の海に恵まれ易い環境です。今後も季節を変えて出艇しましょう。
想定外の大きな洞門(左)。深部まで入り、振り返り撮影(中)。中央に[観音岩](右)。命名[観音洞窟]
魅了され続けた諸寄の海、塩谷海水浴場が至近となった地で、思いがけない秀逸な出会いに恵まれました。大きな洞窟が目に入ったのです。
色合いに魅せられつつ、艇を進めると、正面中央に独立した岩が(↓)・・・。[観音岩]と命名しました。岩の左側(▲)がやや広く、艇を進めることにしました。漕いで艇を前進させ、観音岩に近づいたらパドルを艇の長軸に置きます。手を岩にかけて、艇を進め、暗黒の深部に進入しました。目が慣れるのに、かなりの時間を要したほど。深部で写真は光量が不足し、不満足で組写真からは割愛。
後で気づいたのですが、スマホ(同年7/30に保有)のライト機能を活かし、より深部の観察も可能であったと・・・。次回の探訪時に実行します。
初体験となった諸寄の海、ゆっくりと環境に浸ったことで、所要約2時間40分、漕艇距離は短く約6kmのシーカヤックでした。業者カヤックは前段階に準備運動、パドル操作などの説明があり、実質1時間強の漕艇に留まります。時間を気にせず、気の向くままの個人艇でのシーカヤックは贅沢・・・。
諸寄の海は初心者向けコースです。Intex社(米)のCHALLENGER を購入し、アナタもいかがですか?
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◆新温泉町山陰海岸ジオパーク館に問い合わせ、館長 谷本 勇 氏から情報を得ました。
海岸名「くずれ(崩れ)の浜」(言い伝え)
国道178号線 芦屋坂頂上部から北に伸びる「近畿遊歩道」の中間部から「くずれの浜」に降りることができました。しかし、近年はほとんど降りる人がいないため、やぶ(藪)道となっています。
追伸)この浜には、離水洞窟があります。以前には船で物を運んだりして、中学生のキャンプなどもしていました。
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離水洞窟を調べたら「離水海食洞」がヒットしました。
鳥取砂丘にも「一ツ山離水海食洞」があると、山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局のHP情報で知り得ました。
解説文を引用します。
[鳥取砂丘東部にある「一ツ山」の下部には、かつてこの辺りまで海があった時にできた海食洞があります。
かつての海岸線の崖が海水によって侵食を受けてできた洞窟です。
幅5m、高さ1.5m、奥行きが7.5mあり、縄文時代前期の海水面が高かった頃(縄文海進時)にできたと考えられています。
その後の海退と砂丘の形成によって陸上に取り残されました。]
国土地理院地図、ネット検索で、土地勘を養いました。
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補記)本会報前号のあとがきに「カヤックによるプチ冒険」との評をいただきました。自身、冒険の概念は皆無でした。私事、命を大切にしつつ、夢を抱き、創造し、挑戦を重ね、表現し、感動を得ることの6要素を大切にする人生(自己満足)を重ねています。自然相手なので、無理のない挑戦はプチ冒険だと気づきました。齢73歳を過ぎた身です。より慎重に、丁寧に実践を重ねます。感謝至極です。
以下の地図は HP版限定です。
★ ① 地図を眺め、出艇地などの情報をオツムに入れ、② カヤックを催行し、③ 事後にHP記録として残す。
①・②・③ 各々の作業を楽しんでいる小生です。 2022/12/6記
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◆ 鳥取県東部医師会報 2023年9月号 p28-34の原稿です。
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