悠々 カヤック:写真紀行
[(1)Lake Koyama八景]
湖上から眺める青島の桜:西岸(左)。久松山を遠望できる北岸 (右) 2021/3/27
還暦記念に思い立ったカヤック。動機は前号[続 スイス悠々(21)新春の夢想]に書いたので割愛しますが、まさか、12季目の齢71歳余になっても漕ぎ続けているとは、全く想定外でした。
[悠々 カヤック]シリーズ1回目は、湖山池点描です。ご承知の通り、成因は砂丘による堰止湖・ラグーン、つまり、湖です。ユネスコの世界自然遺産「山陰海岸ジオパーク」の英文は Lake Koyamaで、市内国体道路の案内板にも Lake Koyama 表記があります。
海抜は 0cm(ウィキペディア)、鳥取大学地域学部の資料には0.2m とあります。よって、湖山川の水門が開いている状態では、日本海が満潮に向かう際には逆流しているのが常態です。
カヤックは、新コロ禍中の2020年、2021年は出艇が増えました。満70歳を契機に、「2020年は晩秋、さらに、冬を含め、通年で漕ぐ」と心して、青島の桜も湖上から眺め、撮る機会を狙いました。
湖上で眺める青島の桜:青島大橋の下から出航 (左)。桜並木の散策路:東南岸(右) 2021/4/11
幸い、非番の休日に天候に恵まれ、2021/3/27(土)と4/11(日)に出艇しました。
3/27は、カヤック、パドルと電動ポンプの一式を入れた10kg弱の袋を手に下げ、自宅から1.6km強を歩き、湖山池公園お花畑ゾーンの湖畔からの出艇でした。約1.7km西にある青島に到達し、時計回りに周回し、復路は湖山川に進入し、艇を上げました。(写真を撮りつつ、所要2時間45分、漕艇約6km)
4/11は、青島大橋南詰からの出艇で、反時計回りに青島を周回。(約1時間、漕艇約2.3km)
美萩野地区の湖岸に建つ阿弥陀堂を湖上で視認 (左)。望遠撮影 (右) 2021/9/20
「鳥取民藝美術館別館湖山池阿弥陀堂」は美萩野地区の湖岸(鳥取医療センターの西南)に建つ登録有形文化財です。「鳥取民藝美術館である湖山池阿弥陀堂の修復工事が完成」(2017/11/4) ともあります。調べると「津生島を正面に見る小高い二ツ山の上に建つ。昭和39年、鳥取における新作民藝活動の指導者・吉田璋也によって建てられた、茶室を備える八角堂」「璋也は、津生島を阿弥陀如来、その左右に位置する、青島を勢至菩薩に、団子島を観音菩薩になぞらえ、阿弥陀三尊仏を拝むようにこの八角堂を建てた。阿弥陀三尊仏を拝むお堂だから、阿弥陀堂」と。
西から見る鳥ヶ島 (上) K 久松山、A 青島、D 団子島。↓ 青島大橋。下は南側 L レーク大樹 2017/5/5
Lake Koyamaには青島(標高60.8m)が最大で、釈迦堂の至近に津生島(つぶじま 44m)、その南西に団子島(20m)と、青島の東南に猫島(弁天島)があります。さらに、名称は鳥ヶ島ですが、奇岩が連なる地が団子島の西湖域にあります。2017/5/5(祝)北岸から16時過ぎに出艇し、反時計回りに半周し、約3時間巡りました。17時過ぎに、異様な光景の鳥ヶ島を眺めた際の驚きは今も新鮮です。
同日、夕陽を浴びて輝く団子島へと艇を進めました。約半世紀前、団子島をカワウがねぐらとしたことで、“糞害”により、島の立木が枯れ、岩肌が白く染まっていました。今は緑が再生しています。
夕陽に映える団子島、左・北に津生島、右・南東に青島。K 久松山 2017/5/5
西からの景観は、薬師三尊に例えましょうか・・・。湖上の本尊・薬師如来が団子島、脇侍は左・日光菩薩が津生島、右・月光菩薩が青島。このアングルでは久松山も垣間見ることが出来ます。
青島の南東にある赤い鳥居と美しい松の猫島(・弁天島)に心が和んでいました。ところが、2021/9/20(祝)に近接した際に多くのシラサギが飛んで逃げましたが、松枯れに驚愕!悲しい限りです。偶然、2020/8/23(日)に同様のアングルで撮影した写真がありましたので、組写真で比較をしました。
美しい猫島(・弁天島):鳥居が見辛いほどの立派な松 (→ 左)。鳥の糞害で枯れた無残な松(右)
「日の出を体験する」意思表示をしてから数年が経過し、やっと実現したのは2019/5/5(祝)でした。日の出・日の入マップ(https://hinode.pics/)は有用で、時刻と方角を確認し、当然ですが、日本気象協会(https://tenki.jp/)の天候・風向きに係る情報を勘案し、出艇を決めています。
子どもの日の早朝に出艇(左)。雲に魅せられた(中)。雲間からの日の出:望遠撮影(右) 2019/5/5
夕陽に比べ、朝陽は眩しく、呑気に眺めることは出来ません。幸い、朝焼けの雲が美しく、魅せられました。日の出自体は雲に遮られ、湖面の反射は乏しかった次第。再挑戦します。出艇地は北岸の湖山池公園で、人工湖岸に手足が置ける金属棒の段がある地点があり、足を濡らさずに出艇が可能です。
Lake Koyamaでの太陽とのコラボは、何と言っても夕景が秀逸で、再三再四、季節毎に、風を見て、出艇地も変えて、サンセットカヤックを堪能しています。
2021/11/28(日)の夕は、フト気づくと、予報に反して、風が止んでいました。日没の方角、時刻を急ぎ確認。急遽、艇を整え、出艇した地は東南部の湖山池公園駐車場至近地。水路の湖岸部が石組みされ、かつ、接着剤でコンクリートと固めてあるため、ここでも足を濡らすことなく出艇が可能です。
貸切状態の湖上にてのんびりと眺める鏡面の夕景(左) J 鷲峰山、A 青島 日没(右) 2021/11/28
冬至に近い11月下旬なので、出艇地界隈の東南部では、日の入は青島大橋に係る地。が、流石に、逆光で、大橋を視認はできませんでしたが、透明度の高い快晴に恵まれ、鷲峰山・稜線も綺麗でした。
湖上には、水鳥さんたちのほかには小生のカヤックのみで、貸し切り状態でした。無風ゆえ、筋トレとは程遠い、ノンビリ・ゆっくりの漕艇で、至福のひと時を体感し得ました。
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自身が保有するカヤックは、Inflatable Kayak(空気で膨らませるタイプ)で、軽量・手軽です。
初代の艇は、その存在すら知らずに、ネットオークションでヒットした次第でした。後年に分かったことですが、英国Bestway社の愛称WAVE LINE。品物は新古品で、パドル・足踏みポンプ付でした。専門店で手押しポンプを購入し、合計で1万円余。その後、ドイツのDoppelgangerの二人乗り艇、簡チョロの一人乗り艇(順々に2艇購入:劣化し、廃棄:現在は発売中止)や米国Intex社のCHALLENGER(現有 一人乗り2艇、二人乗り艇の計3艇)と、Bestwayの後継艇 COVE CHAMPION一人乗り艇を得ています。
Inflatable Kayakでは、米国Intexがトップメーカーで、何とウィーンの業者も、小生が保有する一人乗り艇・二人乗り艇を用いています。市場No.2が英国Bestwayと知ったのは2021年でした。
諸条件を勘案し、ファミリーカヤックの体験も重ねることが出来ています。激流の河川、競技ではなく、安全・安心を重視し、景色を眺め、写真を撮るなど、リクリエーション・カヤックの類です。とは言え、向かい風の際や、意図的に強く漕ぐ際は、上半身・腰の筋トレになります。
未体験ならば、アナタも是非、体験なさってください。勿論、山陰海岸ジオパークエリアの業者カヤックも非日常体験として、貴重です。新型コロナ禍中、“0密”環境ゆえ、この点からもおススメです。
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悠々 カヤック:写真紀行の1回目は、地元ジオパークのラグーンLake Koyama点描としました。ウィーンのAlte Donau(古ドナウ)などや、スイスの湖でのカヤックが実現することを祈念しつつ、まずは、山陰海岸ジオパークエリアなどでの[悠々 カヤック:写真紀行]をお届けします。
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◆ 鳥取県東部医師会報 2022年3月号 p.39-44 の原稿です。
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